おわりに
2カ年の「総合的な学習の時間」の移行期間を経て、14年度から本格実施し、評価も相対的評価から絶対的評価へと評価の大転換が行われることになった。学習活動の内容を見ると移行期からの各学校の研究の成果が生かされ大きな変化にはなっていない。しかし、評価は大きく変わり、教師の評価に対する意識はそう簡単には転換していくことが難しいと感じている。特に、新教育課程において新しく創設された総合的な学習の時間においては、教師の評価観を混乱させているのではなかろうか。今回の「総合的な学習の時間」の活動内容と評価に関する調査研究を通して、これからどのように評価や指導を行っていったらよいか、大きな指針を3つもつことができた。
●教師の評価力量を高めていくことである。教師はつねに評価観を磨いていく必要がある。そして、カリキュラムに対する責任を自覚し、より良い学習活動の改善や指導の工夫を行っていくために、自己の教育活動を見直していかなければならない。
●積極的に説明責任を果たしていくことである。総合的な学習の時間は、地域とのかかわりの中で創られていくものだと考える。各学校の総合的な学習の時間に対する考え方や、子どもが実際に学ぶ姿を地域に投げかけながら、地域の教育力を生かしていくことができるようにしたい。
●子どもの自己評価力をどのように育成していくかである。総合的な学習の時間は、子どもが主体的に学ぶ力(問題解決力や生きる力)を育てていくことを大きなねらいにしている。そのためには、まず子ども自身の自己評価力を育てていくという評価の視点が不可欠だと考える。
平成14年度の各学校の実践は、校内研修等で成果や課題について話し合われ、新たなる取り組みとして生かされていくと思われが、本調査研究が、課題解決および改善のための資料として役立つと考える。なお、本調査結果の一部は、群馬県総合教育センター産業科学課Webサイトhttp://www.center.gsn.ed.jp/sangyo/ に公開しているので、こちらからも活用していただきたい。
資料 調査校一覧
調査1 「総合的な学習の活動内容」についての調査
○調査期間 平成14年7月12日〜7月26日
○対象校(41校 教職員41名)
妙義町立妙義小学校、榛名町立第六小学校、桐生市立川内北小学校、尾島町立尾島小学校、
安中市立磯部小学校、藤岡市立平井小学校、大間々町立神梅小学校、藪塚本町立藪塚本町小学校、 桐生市立広沢小学校、前橋市立細井小学校、板倉町立北小学校、倉渕村立東小学校、
高崎市立豊岡小学校、中之条町立第一小学校、玉村町立芝根小学校、前橋市立荒牧小学校、
前橋市立駒形小学校、千代田町立西小学校、渋川市立金島小学校、長野原町立応桑小学校、
藤岡市立藤岡第二小学校、松井田町立西横野小学校
前橋市立第三中学校、群馬町立中央中学校、高山町立高山中学校、境町立西中学校、
高崎市立八幡中学校、高崎市立並榎中学校、富岡市立富岡中学校、沼田市立薄根中学校、
伊勢崎市立宮郷中学校、白沢村立白沢中学校、赤城村立北中学校、高崎市立南八幡中学校、
富岡市立西中学校、黒保根村立黒保根中学校、高崎市立塚沢中学校、玉村町立玉村中学校、
藤岡市立西中学校、富士見村立富士見中学校、甘楽町立第三中学校
調査2 「総合的な学習の時間」の評価についての意識調査
○調査期間 平成14年6月4日〜7月10日
群馬県内小学校22校、中学校12校を無作為抽出
○対象校
A群(19校 教職員全員(280名)、児童生徒(1662名)・保護者(1507名)は抽出)
前橋市立芳賀小学校、伊勢崎市立名和小学校、子持村立長尾小学校、
高崎市立六郷小学校、藤岡市立日野中央小学校、群馬町立金古小学校
松井田町立臼井小学校、尾島町立世良田小学校、板倉町立西小学校
片品村立片品北小学校、嬬恋村立干俣小学校、中之条町立第一小学校
前橋市立東中学校、吉岡町立吉岡中学校、富岡市立南中学校
桐生市立境野中学校、明和町立明和中学校、嬬恋村立西中学校
中之条町立中之条中学校
B群(15校 教職員全員(222名))
前橋市立荒牧小学校、赤城村立津久田小学校、境町立境小学校
高崎市立北部小学校、安中市立後閑小学校、下仁田町立小坂小学校
桐生市立菱小学校、太田市立宝泉東小学校、沼田市立升形小学校
中之条町立第三小学校、伊勢崎市立第二中学校、高崎市立並榎中学校
吉井町立中央中学校、太田市立南中学校、沼田市立沼田東中学校